Amaneの反蔵書

世の中の固定観念を問い続ける書評ブログ

人は電気羊に飼いならされるのか?―AIの未来―

f:id:MikadoAmane:20161119142240j:plain最近流行りのAIとはなんだろう?

 

数十年後には人が行う仕事が半分なくなる。

こんな荒唐無稽な話が、AIの進化によって現実のものになりつつあるらしい。google翻訳が格段に正確になったというAI関連のニュースもよく見るようになったし、そろそろAIとは何なのか、知っておかないといけないなと思う。

 

小林雅一著『クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場』によると、AI(Artificial Intelligence)とは、人間のように見たり、聞いたり、話したり、考えたりするコンピュータを実現するための技術だそう。この本はAIがこれまで辿ってきた道をわかりやすく解説していて、入門書として最適だった。今回はこの本で学んだAIの歴史や未来、危険性などについて思ったことを書いてみたい。

 

 3つのAIの種類

  1. ルールベースAI
  2. 統計確率AI
  3. ニューラルネットワークAI

最初は学問分野として始まったAIの研究だが、当初はルールベース型と呼ばれるものだった。これは、「AならB、BならC」という風に、論理をすべて組んで演繹的に処理する方法をとるAIで、簡単な処理はできるものの現実のような複雑な要素が絡む課題は処理できずに限界を迎えた。

 

次に起こったのが統計確率を用いたAI。これは、例えば「私」という単語の次には高い確率で「は」や「が」の助詞が入るというような、統計的な処理を行うもので、AppleのSiri、googleの自動運転なんかもこれに該当する。ただ、実際にsiriが言葉の意味を理解したり、自動車が交差点で他の車とコミュニケーションしたりはできないので、できることには限りがある。

 

そこで、人間の脳を模したニューラルネットワーク型AIというものが登場する。これは真の意味でコンピュータが「理解する」ということを達成したもので、例えばAIを搭載したヘリコプターに飛び方を教えると、どんどん成長して曲芸までしだすといえばわかりやすいか。(実は実際に存在する。以下はスタンフォード大学の自動運転ヘリの動画。後ろ向きに飛んでいる笑)

www.youtube.com

 ただ、ニューラルネットワークAIも完璧では無いらしく、「原因と結果の推論」が苦手だそう。これについては詳しく書いていなかった。

 

最新のAIは統計確率AIとニューラルネットワークAIをミックスさせているらしい。

 

実用化に伴う危険性ももちろんある

筆者が細かにあげていたが、この記事では2つ取り上げる。

1つ目は、「兵器転用」。

自立した思考を持つ2足歩行のロボット(ターミ○ーター)がマシンガンを持って街を闊歩する…。そんな未来がすぐそこまで来ている。感情を持たないロボットが兵器として使われるようになると、どうなってしまうのだろうか?SF的なディストピアが頭によぎるのは私だけでは無いはず…。

 

もう1つは、「雇用破壊」。

これは割りと私達の生活に直接影響がある。冒頭でも書いたように、雇用がものすごい速度で減る可能性がある。特に、作業や簡単な論理を考えるだけで良い仕事はすぐになくなる。実際電話カスタマーサポートや簿記係はここ20年で半分以上消えている。筆者はAIによる産業構造の変化が早すぎてその変化に人が追いつけないと考えている(産業革命は100年スパンで起きたために変化は緩やかだったが、AIは10年で社会を変える)。

 

ついに、「機械ではなくて人ができることはなんだろう?」と真剣に考えないと、仕事がない状況になってしまう世の中が当たり前になってきつつあるのだと私は思う。

 

思考を停止してしまえば、いつの日か私達”が”電気羊のペットになってしまう日が来るかもしれない…。