Amaneの反蔵書

世の中の固定観念を問い続ける書評ブログ

「ジェットエンジンってどうなってんの?」を小学生でもわかる言葉で書いた本

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"What if"というサイトで、科学に関する日常のふとした疑問にかわいいイラストを添えて答えるRandoll Munroeという漫画家が、"Things Explainer -complicated stuff in simple words-"という本を出した。これがとてもおもしろい。元NASAのロボット研究者の漫画家という異色の経歴が生み出した作品だ。日本語訳版、『ホワット・イズ・ディス? 難しいことをシンプルに言ってみた』が最近出たことをきっかけに知って、「simple wordsって言うぐらいなんだから英語でも読めるだろう」と思って原著を買ってみた。

 

 

link: "what if?"

http://what-if.xkcd.com/

 

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宅配で届いてダンボールを開けて見ると、予想外にでかい…笑

比較用に万年筆をおいてみたが、2本半ぐらいの縦幅。この大きさのページにでかでかとイラストが描かれてあるのは壮観だった。落書き帳を見ているような楽しさがある。今回の記事では、この中にかかれていることの一つを紹介してみたい。

 

ジェットエンジンってどうやって動いてんの?

 まず断っておきたいのが、「ジェットエンジン」という言葉は目次でしか書かれていない。p30のタイトルは"sky boat pusher"、つまり「 空飛ぶ船をおすヤツ」笑。

 

すべてのページで専門用語は一切出てこない(例えば「細胞」は"water bag"、「水袋」と表現されている)。

 

この「押すヤツ」はどのように飛行機を押しているのか、あなたはご存知だろうか?

まず、「押すヤツ」は爆風で飛行機を押している。爆風を生むためには燃料と空気が必要だ。だから、「押すヤツ」は4つのステップで成り立っている。

 

  1. プロペラで空気を取り込む
  2. 取り込んだ空気をめっちゃ小さい空間に送って炎がより早く熱くなるようにする
  3. 燃料が燃えて風が生まれる(これで飛行機が飛ぶ)
  4. 爆風で1.のプロペラを動かす。1.へ戻る

「押すヤツ」が主にやっているのはこれだけ。ものすごくわかりやすい笑。

細かいところもイラストと矢印で簡単に説明している。例えば、「石とか入ったらどうするの?」など。

 

これでもう、この記事のトップにある画像の飛行機のジェットエンジンがどう動いているか、あなたもわかったのではないだろうか?(もう一度トップへ戻って確認して見て欲しい)

画像で見えているプロペラから空気を取り込んで、小さい場所に空気を送って、爆発させて…

 

さらに、例えば「なんで小さい部屋で爆発させるの?なんで後ろ向きに風が吹くの?」といった疑問も生まれてくる。これまで難しそうで触れてこなかった科学や技術に対して自然に好奇心の種をまいてくれるのがこの本の一番の魅力だと思う

 

楽しみながら英語も身につく

英語版は全体を通して中学生レベルの英語なので、中学生や高校生でもすらすらと読めると思う。音読すれば自分でジェットエンジンや細胞の仕組みを英語で説明出来るようになるし、たまに意味を知らない単語が出てくれば、それを自分のボキャブラリーに追加することもできる。私は"pretend horse"の意味がわからず、辞書で調べてみるとpretendに形容詞の用法があって、「空想の」という意味があると初めて知った。面白い読み物で得た知識は、多分一生忘れないだろう。

 

筆者の小ボケにクスクス笑いながら、モノの仕組みを知って楽しみ、ワクワクする大きなイラストを楽しみ、いろんなものを得られる良い本だと感じた。

 

科学・技術に興味があれば、あなたも子ども時代に戻って読んでみてはいかがだろうか?