Amaneの反蔵書

世の中の固定観念を問い続ける書評ブログ

AIの未来Ⅱ―データサイエンティストは必要なのか?―

f:id:MikadoAmane:20161127140728j:plain

そもそもデータサイエンティストって何?

データサイエンティストは、ざっくり言えば「統計やプログラミング、エンジニアリングの技術を用いてデータから問題点やその解決策を導き出す人」のこと。
 
glassdoorによると、アメリカで最も良い25の仕事において1位だそう。これは、職の数、年収、仕事につける機会を要素として評価している。つまり、2016年現在ではデータサイエンティストが最もホットな職業なのだ。
 
link: glassdoor "Best Jobs in America"
 
実は先日、DANx(ダンクス)関西が主催するデータサイエンティストの講演会に参加してきた。話をしてくれたのは同志社大学の教授、google Japan、シナジーマーケティング、ブレインパッドの社員さん達だ。
 
彼らは日本の第一線で活躍しているデータサイエンティストで、データサイエンスの何が魅力なのか、あるいはデータサイエンスに必要な能力は何なのかという話をわかりやすく話してくれた。
 
これからデータサイエンティストはどんどん需要が高まっていくと思います
 
とは、公演をしてくださったgoogle Japan社員の方の言葉。
現場の人間が言う言葉はやはり説得力があった。
 
 

それでも拭えない疑問

データサイエンティストは本当にAIに代替されない職業なのか?という疑問が、データサイエンティストの講演会を聞いても拭えなかった。これからAIが発達するにつれて、データサイエンティストは本当に必要な職業なのだろうか?
 
 
クラウドからAIへ』の続編である『AIの衝撃』という本で、著者の小林雅一氏はデータサイエンティストの必要性について言及している。
 
(『クラウドからAIへ』のレビューは以下のリンクからどうぞ)
 
従来のAIでは、AIに分析させるデータの種類をデータサイエンティストが経験や勘を頼りに選び出し、そのデータを読み込ませて分析するという方法を取っていた。つまり、「必要なデータは何なのかを考えること」にデータサイエンティストの価値があったのだ。しかし、現在のAIは読み込んだ膨大なデータの中から自力で重要なものを探し出す能力を身に着けたと小林雅一氏は言う。
 
だとすれば、思うにAIが情報を入手するインフラを構築さえすれば、後はAIがデータサイエンティストのやっていたことを(おそらくより精密に)代替するのではないか?
 
こういう疑問が拭えないために、データサイエンスの重要性は認識しつつも自分がやろうとは思わない。
 

では何が必要なのか?

AIにできないことを考えると、それは善悪や価値の判断だと思う。
何が理想なのか、どんな未来にしたいのか、こういったことを考えることこそ、人間にしかできないことだろう。だから、データサイエンスについてそれを当てはめれば、「何を問題と置くのか」や、「どのような状態が解決なのか」ということを考えて、それをAIの価値判断として組み込むことができる能力が必要なのだと私は思う。